以上のような理由から、事務所のフロアを増設するいわゆる「増床」をお考えの業者さんもいらっしゃいます。
事務所の場所が変わったわけではないので手続きが必要ないと考えてしまいがちですが、実は増床についても行政に変更の届出が必要となります。
必要であるはずの手続きを行わずに思わぬお叱りを受けることにならないためにも、どのような手続きが必要かしっかりと理解しておきましょう。
事務所として使用している部屋の壁を取り去って一つの大きな部屋にするというのが一般的にいう増床ですが、賃貸オフィスでの経営がほとんどの中このような増床を行う業者さんはなかなかいらっしゃらないと思います。
実は、東京都では「同じ建物内」の別の部屋を追加で事務所にする場合は増床として扱われています。
例えば、○○ビル101号室で宅建業を営む業者が新たに同じ○○ビルの806号室を借りて、101号室を接客スペース、806号室を執務スペースとしたいといった場合は増床として扱われます。
101号室を本店、806号室を支店として扱うのではなく、101・806号室を一つの本店として扱うことになります。そのため、政令使用人や専任の宅地建物取引士を新たに手配する必要はないですし、弁済業務保証金分担金(営業保証金)を追加で用意する必要もありません。

フロアを増床するだけで本店の場所が変わるわけではないので基本的に必要ありませんが、登記簿上の本店所在地に「部屋番号」まで記載している業者さんは注意が必要です。
部屋番号まで入れている業者さんが同じ建物内で別の部屋を追加するという増床を行う場合、登記簿上の本店所在地から部屋番号の記載を削除する必要があります。
このときにかかる費用は、「同一法務局管轄内での本店所在地の移転」と同じく30,000円の登録免許税です。実際に移転しているわけではありませんが、本店所在地の情報を書き換えている以上は移転と同じ扱いになります。
※司法書士等の専門家に依頼する場合は別途報酬等の費用がかかります。
事務所の情報が変わっているため、行政への届出の際には事務所写真の提出が必要になります。
このとき、増床した箇所だけでなく増床するまでに使用していた箇所もまとめて撮影する必要があります。「今の事務所の全体像はこんな感じです。」と報告するものだと考えておきましょう。
変更届に必要となる書類は、事務所の移転の場合とほぼ同じです。あまり件数の多くない手続きなので、行政が発行する手引きには記載がないことが多いです。基本的には事務所の移転と同じものと考えましょう。
本店が実際に移転しているわけではないので特に求められない場合が多いですが、支部により扱いが異なるので必ず確認しておきましょう。
本店の移転や支店の追加と同様に、フロア増床の場合でも変更の手続きが必要になります。実際に事務所の場所が変わっているわけではありませんが、事務所の情報が変わっている以上は変更の届出が必要となります。
手続きとしては事務所の移転と同じものが求められますので、意外と時間を要する場合もあります。手続きの流れを理解し、余裕を持ったスケジューリングを心がけましょう。
フロア増床という変更の手続きを行う前に、他に何か免許を受けた時または更新した時から変わったことはありませんか?宅建業では一定事項に変更が生じた場合には行政に届出をしなければなりません。
変更時に届出が必要になる一例
上記の事項につき変更があったにもかかわらず届出がされていない場合、フロア増床についての手続きの他にこれらの変更手続きも行わなければなりません。まずは会社として重要な事項に変更がなかったかを確認してください。
また、上記の変更は変更があった日から30日以内に変更の届出をしなければなりません。期限を過ぎてからの変更の届出は受け付けてもらえないわけではないですが、始末書の提出を求められることがあります。
当事務所でも、変更が行われていなかったために手続きが増え、余計な手間がかかってしまったという相談を非常に多くいただいております。
※専任の宅地建物取引士については、業者として行う変更の届出とは別に宅建士が個人で行う「勤務先の変更」という手続きがあります。この「勤務先の変更」だけを行って、業者としての専任の宅地建物取引士変更の届出を行わないでいる業者さんが非常に多いです。
この2つの手続きは完全に別物です。どちらも完了していないとダメなのでお気を付けください。